Ballet Dancer Interview vol.1

佐々木和葉インタビュー_タイトル画像

恵まれた肢体と深い感情表現により、これまで多くの観客を魅了してきた谷桃子バレエ団のプリマバレリーナ佐々木和葉。大塚礼子、尾本安代、深川秀夫の諸氏に師事し、谷桃子バレエ団研究所を経て同団入団。2001年の公演「白鳥の湖」全幕で主演デビューし、以降「くるみ割り人形」、「ラ・バヤデール」、「シンデレラ」、「ジゼル」、クルベリ版「ロメオとジュリエット」など多くの公演で主役を務める。2016年現在もプリンシパルとして老舗バレエ団を牽引するプリマバレリーナの一人。

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毎日のレッスンとリハーサルの他、団外の公演や発表会などのゲスト出演も行う佐々木和葉さん。多忙なダンサーであるにも関わらず、佐々木さんは年間5足程度しかトウシューズは買わないそうです。いったいどのようにしてトウシューズの寿命を伸ばしているのでしょうか?! 早速お話しを伺ってみました。 佐々木 「(私のトウシューズは)職人さんに申し訳ないくらいの改造を重ねています。でもおかげで長く使えています。“これは足に合う”と思うトウシューズが見つかったら公演用にして、他のトウシューズと同時並行で使用していきますが、今履いているトウシューズは2年前の7月から使っているものです。」つまり、佐々木さんのトウシューズはクラシックの舞台のリハーサルと本番を少なくても3回以上は乗り越えている計算になります!! トウシューズを見せてもらうとフリードのマーク“O”。 ソールは土踏まず辺りから踵にかけての芯が抜かれており非常に柔らかく足にフィットするよう改造されておりました。驚くべきはポワント部分から土踏まずまでの固さ!! 年に何度かアロンアルファを流し込んで固めているそうです。 一般的にトウシューズを長持ちさせる為に、ニスを流し込んで硬くする事はありますが、佐々木さんの場合はアロンアルファで固めるため、ちょっとやそっとでは柔らかくならないのだとか!!固くすることによって、つま先のラインをつねに美しく見せる効果もあるようです。 (※ポアントの種類や足の強さ等、個人差がありますので、むやみに真似をせず、ご自分の足にあった適切な処理をして下さい。)

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他にも佐々木さんのトウシューズには沢山の工夫がなされていました。まず、トウ先のプラットフォーム部分は太めのレース糸で補強されています。これをする事で、立った時の安定感が変わるのと、布の擦り切れを防ぐ事が出来るのです。 そして、前ぐり部分はメッシュゴムで補強されていました。この部分は糸でかがられることがありますが、糸よりメッシュゴムの方が、伸縮性があり、より使い心地が良いそうです!! 甲が前に出過ぎてしまいバランスがとり難い方にはオススメの方法かもしれません。踵部分にはスポンジのクッションが敷かれていました。 中敷きの芯を抜いた分、踵と床の距離が近くなってしまうので、このスポンジで調節しているそうです。さらにスポンジが入る事によって踵にかかる衝撃を和らげる効果も期待出来るそうです。このように1足のトウシューズに情熱的な改造を重ね長く大切に使用している佐々木さんですが、トウパットや足先のケアはどうしているかお伺いしたところ、なんと昔からの大定番、アビニヨンのラバーパットをお使いでした!!しかもこのトウパット以外、足の指には絆創膏ひとつ使われていないのだとか!!トウシューズが足に合っている証拠ですね。

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最後に今日ご紹介のトウシューズを履いて頂き、美しい足先の写真を1枚。まるでバレエシューズを履いている時の様に、ソールが足に馴染んで美しいカーブが描かれていました。 佐々木「 (トウシューズを)細工する事は長持ちももちろんですが、自分の足を最も美しく見せるために最小限は必要な労力です。例えば甲がそこまででない人は、サイドの布を縫って浅くして、甲の部分が大きく見えるようにもしていますし、引けて立つ癖のある人は、しっかり立ちきれるようにプラットフォームのかがりの角度をつけるとか・・・工夫をしています。 また、親指の方に斜めに倒れて立つ癖があったりすると、どんどん靴も傾いてすり減るので、まっすぐ垂直に立つこと、縁にたたないで面をしっかり床に当てることも大切ですよね。足に汗が多く出てしまうようでしたら、もちろん除湿剤を入れてこまめに干したり、3足くらいをローテーションで履く等の工夫が必要ですね。」 バレエを勉強中の方やこれからプロを目指す方々にも是非ご参考にして頂きたいメッセージです。でも何よりトウシューズをダメにさせてしまうのは身体が引き上がっていないからだとか・・・。さあ、今日もレッスンに励んで美しく引き上がった身体を手に入れましょう!!

prifile プロフィール

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佐々木 和葉
Kazuha Sasaki

大塚礼子、尾本安代、深川秀夫のもとでバレエを始め、谷桃子バレエ団研究所に入所。1998年谷桃子バレエ団に入団。2001年第58回全国舞踊コンクール、バレエ・パ・ド・ドゥ部第1位。文部科学大臣賞、東京都知事賞、日本バレエ協会賞、特別賞バレエ奨励賞を受賞。同年K-BALLET COMPANY「ジゼル」全国ツアーにドゥ・ウィリー役で参加する。2002年バレエ団新春公演「白鳥の湖」全幕にてプリマデビュー。以降、「くるみ割り人形」全幕、「ジゼル」全幕、「ラ・バヤデール」全幕、「シンデレラ」全幕、クルべり版「ロメオとジュリエット」全景、「ライモンダ」第3幕、「眠れる森の美女」第3幕、谷桃子振付「ロマンティック組曲」、日原永美子振付「オディールの涙」、そのほか数多くの公演、作品に主演している。また、バレエコレクション in OSAKA スーパーガラ、ドリーム・オブ・ダンサーズ、佐多達枝振付OFC公演、早川恵美子・博子バレエスタジオ公演などに客演し、日本バレエ協会各種公演でも主要な役を踊っている。現在、谷桃子バレエ団プリンシパル。谷桃子バレエ団附属アカデミー教師。 好きな演目「ジゼル」、「ラ・バヤデール」、「椿姫」、クルベリ版「ロミオとジュリエット」

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