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Ballet Dancer Interview vol.2

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世界トップクラスの一流バレエ団として名高い英国ロイヤル・バレエ団。2016年夏の来日公演では『ロミオとジュリエット』と『ジゼル』の2演目を上演し、演劇性・芸術性・技術力共に最高級の演技で日本の観客に大きな感動を届けました。
今回はそんな英国ロイヤル・バレエ団でファーストソリストを務めるダンサーのヴァレリ・ヒリストフさんにバレエ団生活にまつわる様々なお話しを伺いました。
フリーペーパーでは彼の妻であり元英国ロイヤル・バレエ団日本人ダンサー(赤い靴と同じ神奈川県逗子市出身!!)の古谷智子さんにもモデルとしてご登場頂き、美しいウェアコーディネートの数々をご紹介させて頂きます。
image 赤い靴 2016年夏に来日された英国ロイヤル・バレエ団ですが、2017年にかけてはどのような活動が予定されているのでしょうか?

ヴァレリ 2017年夏はオーストラリアで公演をする予定です。英国ロイヤル・バレエ団はこれまで2〜3年に1度のペースで来日する事が多かったですね。団活動としては年間100ステージをロンドンでこなし、それ以外に大体年間1~2回の国外ツアーがあります。

赤い靴 英国ロイヤル・バレエ団のバレエダンサーは主役のみならず、周りを固めるソリストから群舞に至るまで、深い感情表現が長所の一つだと思うのですが、なにか特別なトレーニングをしているのでしょうか?あるいは指導者から細かい指示があるものなのでしょうか?

ヴァレリ バレエ・ミストレスやマスターからはいくつかのアドバイスをもらう事はありますが、それが100%役づくりに反映される訳ではありません。みんな本を読んだり、演劇を観たりして独自の方法で解釈を深め、役づくりをしてリハーサルに望みます。解釈を深めることによって歩き方ひとつも変わってくるものです。特に英国ロイヤル・バレエ団は演劇性の高いバレエ団なので、キャスティングの際に、技術力よりもどれだけ役を作り込める演技力があるかも重視されます。ダンサーは皆、完璧なテクニックを持ち、なんでも出来る人たちばかりですが、それだけでは重要な役はつかないのです。

image 赤い靴 作品自体はどの程度のリハーサル期間で作り込まれていくものなのでしょうか?

ヴァレリ 大体2週間です。良くて3週間。ただ、団内では各シーズンの作品と主役キャストが1年前に発表されるので、主役を踊る人はリハーサルが始まるまでの期間に読書などをして理解を深める事が出来ます。振りをもらってからは一気に仕上げるのですが、時には5つのプロダクションを同時並行で進めることもあるので、そうなると2~3週間の間に5作品をいっきに仕上げなければならない場合もあります。プリンシパルは大体どの作品でも主役を踊りますが、作品ごとにパートナーが異なるので、リハーサルのスケジュール調整も重要です。

赤い靴 ベストなコンディションを保つ為に、普段のレッスンや日常生活で注意している事はございますか?

ヴァレリ 僕は他の人と比べるとかなり特殊なのかもしれませんが、とにかくしっかりリハーサルをする事と、しっかり身体を休める事を大切にしています。ダンサーの中にはレッスンの回数を控え、あまり身体を使いすぎないようにする人も多いのですが、リハーサルと休息のメリハリが僕にとってはコンディションを整えられる秘訣です。

赤い靴 ツアー中は長いホテル住まいでいつもと違う環境ですから、身体が休まらないのではないでしょうか?

ヴァレリ ツアー中はジムを利用して、いつも通りのコンディションを保っています。英国ロイヤル・バレエ団のツアーでは必ずジムがついているホテルが使用されます。今回の日本ツアーではホテルオークラに泊まりました。

image 赤い靴 バレエ団のスタジオや、そこでどのように稽古が進められるのかを教えて頂けますか?

ヴァレリ 英国ロイヤル・バレエ団には7つの大きなスタジオがあり、内2つは劇場とまったく同じサイズのスタジオです。午前10:30から11:45まで4つのグループに分かれて各スタジオで同時にレッスンを行います。その後、各プロダクションごとに分かれて12:00から18:00までリハーサルを行います。その間に1時間のお昼休みがとれ、2時間リハーサルをしたら15分休憩を入れるルールになっています。リハーサルには大体5個のスタジオが使われるので、残りの2つのスタジオでみな独自に練習を行う事が出来るのです。

赤い靴
 トウシューズやバレエシューズは支給されているのですか?

ヴァレリ はい。全て支給されます。トウシューズに至っては年間25万足が支給されていると言われています。僕はレペットのバレエシューズを好んで使っています。

赤い靴 ボディケア等の為の施設、施術師もいらっしゃるのでしょうか?

ヴァレリ もちろんいますよ!! フィジカルトレーナーが2名、マッサージ師が2名、ジャイロトニックトレーナー、ピラティストレーナーが各1名などなど、、、他にもオリンピック選手をケアしているトレーナーの方がおり、一部のスタジオでは床に内蔵されたコンピューターを使って、左右の均等性を図ったり、様々なテクノロジーが駆使されています。また、フィジカル系の専属医、メンタル系の専属医も各1名います。

赤い靴
 ヴァレリさんも(上記の施術を)よく利用されるのでしょうか?

ヴァレリ いえ、僕はほとんど利用した事がありません(笑)。怪我もめったにしませんし。マッサージにいたっては、一度はじめるとそれ無しではレッスンできない身体になってしまうので、自分のもっている自然治癒力で治すのが一番です。信号待ちをしている時や暇な時間にジャンプをして身体をほぐせば、それで充分です。

image 赤い靴 好きなバレエ作品や振付家はいますか?

ヴァレリ
 どの作品も振付家もみんな好きですが、あえて言うならばケネス・マクミランです。彼の作品は約50年も前に作られているものですが、いまだにどのダンサーも踊りこなすのが難しい程のテクニックが使われています。そして、深い演劇性があります。なので、何度踊っても新しい発見がありますし、同じ作品を上演したときに前回と同じ事の繰り返しに感じる事は1度もありません。

赤い靴
 今注目しているダンサーは?

ヴァレリ
 英国ロイヤル・バレエ学校のホワイトロッジに将来スーパースターになるであろう日本人のダンサーがいます。名前はまだ言えませんが彼は確実にスターになりますよ!

!赤い靴 今年の6月、日本人ダンサーの平野亮一さんと高田茜さんがプリンシパルになりましたが、同僚として彼らの踊りをどのように評価していますか??

ヴァレリ
 二人ともとても素晴らしいダンサーです。そして、まったくタイプの違うダンサーだと思います。特に茜は技術力に定評があり、亮一は自身の踊りだけでなく、サポートもものすごく上手なんですよ!
image 赤い靴 ヴァレリさんはバレエの指導をされる事もあるのでしょうか?

ヴァレリ はい。英国ロイヤル・バレエ学校では、すでに全ての年代の子供の教師を経験しています。また、バレエ団内でもレッスンティーチャーを務める事もあります。まだ現役で踊っていますので、教えは毎週だったり、月に1回だったりばらつきがありますが、先日の日本公演の際、後半はほぼ毎日、クラスのレッスンティーチャーをしていました。
赤い靴 もし日本で短期間のレッスンを行うとすると、どのような事をお伝えしたいと思いますか?

ヴァレリ 年代にもよりますが、 やはり基礎です。基礎がなければバレエはなりたちませんし、基礎があることによって長く踊る事ができます。大抵、講習会を行う時などは「身体を引上げる」など、3つ程のテーマを徹底して伝え、身に付けてもらえるように努力しています。一気に全てを伝える事はしません。バレエは段階を経て、一歩一歩前に進むものなので。
赤い靴 最後に今日本でバレエを愛し、頑張って勉強中の方々や若手ダンサーの方々に向けてメッセージをお願い致します。

ヴァレリ バレエは技術だけではなく、その一歩先にあるものを目標にしなければなりません。それはなにかを表現する力です。
若い子の場合は演技をしたり、役づくりが必要な機会がない、と考えてしまうかもしれませんが、日々のレッスンで流れている音楽をもっと聴き、その音をどう感じたか、どのように表現出来るかを考えるようにしてみて欲しい。音楽の感じ方は5人いれば5人とも違うはず。誰かの真似をしたり、言われた事だけをやっているのではダメなのです。
とくに、僕が知っているダンサーやミュージシャンで成功している人たちは皆、人と違う事をやってきた人ばかりです。成功者の真似をしたら、ある程度のことは出来る様になるかもしれないけれど、決してその人以上にはなれません。だから、誰かの真似をするのではなく、自分なりに考えて表現出来る様にならなければいけないんですね。一人一人、自分のオリジナリティーや個性を伸ばしていけるようにして欲しいと思います。

image Valeri Hristov(ヴァレリ・ヒリストフ)

英国ロイヤル・バレエ団、ファーストソリスト。
ブルガリアのソフィア生まれ。国立舞踊学校で学ぶ。
2000年 シアトルのパシフィック・ノースウェスト・バレエに入団。2002年 英国ロイヤル・バレエ団に入団。2004年「火の鳥」で主役デビューし好評を博す。2006年ファーストソリストに昇格。「オネーギン」、「くるみ割り人形」、「ロミオとジュリエット」等数々の作品において主役、主要キャストとして活躍する他、英国ロイヤル・バレエ学校及び団の教師としても活動。

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